第10回環境研究シンポジウム

講演5 低頻度大規模災害のリスク評価の研究

講演者:(独)産業技術総合研究所 安全科学研究部門 研究部門長四元 弘毅

 首都直下型地震、東海、東南海、南海地震など、首都圏や太平洋ベルト地帯を直撃する災害の発生が予測される中、災害に強い社会・産業システムの構築が急務であり、そのための科学的な方法論に基づくリスク評価の手法開発が必要である。

 地震などによる一次被害のリスク評価の検討はすでに行われており、その成果が地震保険や企業の事業継続計画(BCP)作成等に反映されている。しかし、東日本大震災で見られたような原発事故による放射線汚染問題や、サプライチェーン寸断による産業界への影響など、多方面かつ複層的な二次被害の影響まで考慮できる仕組みはないに等しい状況である。

 このため、一旦発生すれば社会や経済に与える影響が桁違いに大きい低頻度大規模自然災害リスクへの対応を可能とするため、一次災害と二次被害を含めた複層的な影響をシミュレーションし、産業に対する災害リスクを評価する研究を開始した。その概要について紹介する。