第10回環境研究シンポジウム
講演2 東京湾・伊勢湾に来襲する最大級高潮の予測
講演者:(独)防災科学技術研究所 観測・予測研究領域 水・土砂防災研究ユニット 主任研究員 村上 智一 |
東京湾や伊勢湾には、日本の中枢機能と大都市が集中しており、そこで大規模な高潮災害が発生した場合、その影響は首都圏・中京圏に留まらず、全国さらには世界に及ぶことが懸念される。このような高潮災害による被害軽減には、過去に発生した最大級高潮の再現のみならず、それを上回る可能性のある今後起こり得る高潮についての科学的検討が必須である。
防災科学技術研究所では、科学的に信頼できる最大級高潮の予測を行うため、台風渦位ボーガスを組み込んだ大気-海洋-波浪結合モデルを開発した。そして、現在気候および地球温暖化を想定した将来気候(2099年9月時点)の下で東京湾および伊勢湾において発生可能な最大級の高潮の予測を行った。
その結果、現在気候の下で東京湾および伊勢湾において起こり得る最大級の高潮は、それぞれ3.3mおよび5.6mであることが明らかとなった。また、将来気候の下では、それぞれ4.1mおよび6.9mに達した。これらの高潮は、過去に観測された最大の高潮(伊勢湾台風(1959年)による3.5m、東京湾台風(1917年)による2.3m)を大きく上回るものである。
環境研究機関連絡会の参加機関
- 国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)
- 国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)
- 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(NARO)
- 国立研究開発法人森林総合研究所(FFPRI)
- 国立研究開発法人水産研究・教育機構(FRA)
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)
- 国土交通省気象庁気象研究所(JMA)
- 国土交通省国土技術政策総合研究所(NILIM)
- 国立研究開発法人建築研究所(BRI)
- 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所(PARI)
- 国立研究開発法人土木研究所(PWRI)
- 国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)
- 国立大学法人筑波大学