第9回環境研究シンポジウム

講演2 森における「水」の動き

発表者:独立行政法人森林総合研究所 水土保全研究領域長坪山 良夫

概要

河川上流の山地に分布する森林は、水環境によって陸域にもたらされた淡水が地上での移動をはじめる場所ともいえる。森林と河川への水流出の関係には古くから関心が持たれ、すでに20世紀初めには森林の有無による流出量の違いを調べるため、本邦初の流域試験が行われた。以降、多くの流域試験が行われ、森林変化(伐採、成長、山火事、病害など)に伴う水流出の変化が調べられてきた。実際の水流出は森林以外の因子(機構、気象、地質など)の影響も受けるため、森林とそれ以外の因子の影響の相対的な大きさを評価する必要がある。このような取り組みの事例として、この講演では、森林が融雪流出に及ぼす影響についての研究成果を紹介する。