第7回環境研究機関連絡会成果発表会

講演5 ウオーターフロントを環境再生する「沿岸域の環境修復に向けて」

発表者:独立行政法人港湾空港技術研究所 研究主監中村 由行
情報提供期間:独立行政法人水産総合研究センター

概要

今後の沿岸域環境修復のあり方を巡って、環境省などを中心に行政的に様々な議論が交わされている。東京湾をはじめとして各内湾で取り組みが始まっている再生推進会議の具体的な再生目標の文言から判断すると、沿岸域の生物生産性を高め、豊かな海に再生することが人々のニーズにかなった共通の目標であると考えられる。港湾空港技術研究所では、東京湾を対象として生態系モデル解析を行い、生物生産性の高い沿岸海域を実現するためには、今後は陸域からの汚濁負荷の削減ではなく、生物生息場の増大すなわち干潟・浅場の修復こそが重要であるという解析結果を得ることができた。そのような背景の基に、定期的なモニタリングや様々な観測を通じて、豊かな海の成り立ちを知るための研究、すなわち干潟等沿岸域の物質循環や生態系の構造や機能、それらが成立する物理化学的条件等に関する基礎的な研究を進めている。さらには、これらの科学的な知見を基に、干潟・藻場など生物生息場の造成や再生技術、海底掘削跡地の埋め戻し修復、覆砂技術などを含む、より具体的な浅い海域-浅海域-の環境修復を支える工学的手法とその評価手法の開発を行っている。

講演内容